あるゲイのサワライ マモル。

東京、会社員、ゲイ

18、日曜夜に、きらめきを灯す

先週、「ヨルタモリ」が最終回をむかえました。
日曜23:15からの30分番組で、いいともを終えたタモリさんと女優・宮沢りえさんのバラエティー開始と話題になった1年前が、ついこないだのことのように思い出されます。


会社員になったサワライがこの半年、毎週月曜の朝に出社し続けてこられたのは「ヨルタモリ」のおかげでした。
よく「サザエさん症候群」だとか言いますけど、日曜の夕方から眠る前にかけての時間帯って、とにかく憂鬱で仕方のない状態になりますよね。休み気分から平日モードに脳みそを切り替えるには、相当なエネルギーが必要です。サワライは「ヨルタモリ」を観て笑って、「アヒャヒャヒャ、あ~もうしょうがねえや!寝るか!」つって悲劇の夜を何度も乗り越えてきました。

 

ヨルタモリ」の面白さを言葉で説明するのって、すごく野暮なことだと思うのですが、そこはサワライも会社員のハシクレ。あえて就職活動のようなプレゼンに挑んでみたいと思います。


私が感じる「ヨルタモリ」の魅力として、トーク、音楽、コントの3点を挙げます。


まず最初にトークです。
ヨルタモリの基本設定は、りえさんがママを務める都内の架空のバーが舞台。そこにはエッセイストの能町みね子さんら準レギュラーの方々が通っていて、とりとめもない話をしているうちに毎週異なる大物ゲストがやって来ます。

りえさんが昔バラエティーで共演していた(!)とんねるずのタカさん、ノリさんと昔話に花を咲かせたり、桃井かおりさんが仲良しのりえさんに会うためにロサンゼルスから駆け付けたり、黒柳徹子さんとか来ちゃったり、とにかく豪華!

そこに、我らがタモリさん扮する架空のキャラクターが加わり、半分コント、半分リアルなトークが繰り広げられるのです。大物ゲストの飾らない姿、りえさんとタモリさんだから聞き出せる素敵なトークに、毎回目が離せません。

サワライが一番好きなのは、松たか子さん登場回。
大ヒット映画「アナと雪の女王」の主題歌を歌った松さんが、歌番組にはまったく見せなかったその姿をアッサリ「ヨルタモリ」に現したのです。肩肘はらないまさにありのままなおしゃべりをする姿が本当によかった。
中でも印象に残っているのが、ミュージカルの話。今にも死にそうな登場人物がその苦しみを歌い出すところに現実味がなくてわからないとするタモリさんに対して松さんが、その苦しい1秒を何分間かの歌にしてるだけ、音楽は時間を自由に縮めたり伸ばしたりできるだけだから、みたいなことを言ってタモリさんを納得させてしまう場面が本当に面白かったです。

 

次に音楽。
りえママのバーの常連さん(準レギュラー)の中には音楽家の方たちがたくさんいて、森山直太朗さんや福山雅治さんみたいにミュージシャンのゲストが来店すると、即興のセッションを始めたりするんです。
おそらく事前の打ち合わせは一切なしで、とても自由な、適当な歌詞の、でも魅力的な演奏がとても心地いい。型にハマらない、その場限りの奇跡のような化学反応を見ると、一般人には出せないテレビの向こう側のキラキラを感じます。一見普通のおじさんのタモリさんが涼しい顔で軽く打楽器をたたいているだけなのに、その奇跡の楽団を導いているような感じがするのも、ことさらクールでたまりませんでした。
タモリさんの好きな「ジャズ」という言葉が指すのは、音楽の種類というより、こういう即興的な雰囲気や一期一会の出会いの素敵さといった意味合いが強いのではないかと思いました。よくわかんないけど、なんかかっこいいのです!

 

最後にコント。
先述のとおり、バーでの会話ではタモリさんが建築家のおじさんとか、岩手のジャズ喫茶のマスターのような架空のキャラクターとして登場するので充分コント仕掛けなのですが、途中途中に完全なタモリさんのショートコントが挿入されます。バーで流れるテレビ番組の設定なのですが、これが本当にいい意味でくだらなくて、芸達者なタモリさんの妙なクオリティの高さもあいまって、最高なんです。

外国の通販番組のパロディではタモリさんお得意のデタラメなそれっぽい外国語芸が光ります。ハイテンションに紹介する商品は高枝切りバサミならぬ高枝パスタ取りバサミや、サビぬきコロコロローラーなどしょうもないものばかり。

中華の料理人になりきったタモリさんが淡々と、チャーハンをつくる番組なんかもあります。注目はその作り方。毎回おでんや、すし、コンビニ弁当など、出来あがった1つの料理を細かく刻んで炒め合わせてチャーハンにしてしまう、という豪快な展開。

世界の車窓をモジった日本の車窓からというコーナーでは、鉄道フリークのタモリさんの愛あふれるナレーターと共に映る風景が、地下鉄の真っ暗な様子だけ、というシュールな場面も。

どれも最高最高最高!

 


以上の、最高なトークと音楽とコントの三点の魅力が、「ヨルタモリ」が最高である根拠となります。
はぁ~、ロジカル。なんという最高に論理的な説明だったでしょうか。
会社員にしとくにはもったいない論理的思考力。名探偵にでもなってみようか。

無理です。コナンくんじゃないもの。凡人のサワライは会社に行くしかありません。次の月曜日も、出社しなくてはならんのです。

 

日曜夜の、あの憂鬱な気持ちを吹っ飛ばす!とまではいかなくても、何かクスっと笑ってしまうような、心がほんのりおだやかになるような、そういうテレビ番組があると心強いのだけれど。
願わくは小学生の頃に夢中で見ていた「笑う犬の冒険」とか、「世界ウルルン滞在記」のような!

でもま、しばらく「ヨルタモリ」の録画を見返して、誤魔化していくのも悪くないかなと思っています。

 

季節はもう、秋です。

会社員になって半年が過ぎようとしています。

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