あるゲイのサワライ マモル。

東京、会社員、ゲイ

11、北へ

一人旅をしてきました。いわゆる自分探しの旅。そんなふうに言ったら聞こえはいいけど、ようは現実逃避したくなっただけです。

遠くへ行きたい。知らない町を歩いてみたい。どこかで聞いたことのあるフレーズを胸に、北へ向かいました。だって、自分って、たいがい北で探すものでしょう?

いろんなことを見つけました。北の夏も、普通に暑いということ。街なかの信号機が本当に縦向きで、積雪予防タイプになっていること。自分が行ったことのない遠く離れた土地でも、たくさんの人が暮らしていること。

ちょっと考えたらわかる当たり前のことを、自分の目で見た体験として理解するという所が、旅の醍醐味ですよね。自分が何者かなんていうことは、まったくなんにもわからずじまいでしたが、旅してる時にそんなもん不要です。そうです、些細な悩みはどうでもいい、ということがわかったんです。


最後の日、海沿いを走る列車に乗りました。これまで海とあまり関わりのない人生だったので、なんだかもう、その列車に乗るだけで有頂天でした。開け放たれた窓から流れ込む風が心地よく、エアコンなんていりません。普段乗る東京の電車では聞かない、ディーゼルエンジンの爆音をBGMに、それでものんびりと難読無人駅を攻略していきます。嗅ぎ慣れない海の匂いと、車窓で切り取られたあの海岸線を、ずっと覚えていよう。そう思った、夏の北の一人旅。

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