あるゲイのサワライ マモル。

東京、会社員、ゲイ

9、夢の、非合法の愛

トピック「同性婚」について

 

 

会社に入って3カ月が経とうとしています。ざっくりではありますが業務の感じなどわかり始めて、少額とはいえボーナスもちゃっかり頂き、けっこう上出来かな、と思います。
反面、会社の他の人、特に同期入社の人たちにうまくとけこめておらず、3カ月経った今、それがより顕著に感じられます。

なぜ馴染めていないかといえば、自分と彼らとの間に大きな隔たりを感じ、さらに自ら遠ざかろうとしているからに他なりません。

 


大きな違い。それは、自分が同性愛者であるということ。

 

 

メーカーの開発職。男性が9割は占めているような環境。手っ取り早いコミュニケーションの手段といえば下ネタ、合コンの話、風俗の話。周りのみんながふってくる話題はおれが苦手としている内容で、経験もなければ心情がわからないですし、もう本当にどう対応していいかわからなくなって、途方に暮れてしまいます。そうやってどぎまぎするつまんないヤツは相手にされませんし、というかこっちだってそういう話、したくないですからそら仲良くなれませんよ。

もちろん、そんな下世話なこと100%で成り立っているわけではないので、おれだっておれなりに、なんとかみんなと仲良くなれるよう努力しています。しかし、そこにはやはりどうしても埋められないような溝があって、何か重要なところが抜け落ちているように感じるのです。というかそもそも、「仲良くなれるよう努力しています」って…。

結婚がどうのこうの、という話に、嫌悪感があります。
学生時代は、のらりくらりうまく話題をすりかえてなんとかやってきましたが、いよいよ社会人はそういうわけにはいきません。やはり異性を好きになって、自分以外の誰かのためにがんばるパワー、というものがその人の魅力を、公的にも私的にも形成しているように思います。異性を好きになれないおれは、強迫観念にかられるのです。

 

 

そういう面でいうと、もしおれにゲイとしてのちゃんとしたパートナーがいたら、まだ、もうちょっとマシな心持ちだったかもしれません。

でも、おれ、経験、ゼロ。
ネットの出会い系みたいなのもうまくいかなかったし、ゲイバーにも行ったことがありません。カミングアウトしようにも、そういうしっかりした恋愛経験がないので、今までしたことがありません。

もはや、ゲイにもなれず、ノンケ(大多数の異性愛者のこと)にもなりきれぬ、哀れで醜いサワライ マモルなのです。
人間にもなれず、山犬にもなれない、もののけ姫と同じ感じです。
ちょっと良く言いすぎでしょうか。

とりあえず、恋がしたい。人を好きになりたい。

 

 

海の向こうのアメリカで、同性婚が合法化されたそうで。

法に認めてもらえば、権利や待遇面での実益は測り知れず、人々の意識に確かなものが根をはります。本当に素晴らしいことですよね。「全米が泣く」って、本来こういう規模の感動のための言葉ですよね。

しかしおれは日本の、パートナーすらいない童貞ゲイなので、あまり実感とかピンとこないのも、正直な感想だったりします。
日本のネットで話題になっても、世間話で出てこないし。
日本の憲法では「両性の合意に」がなんちゃらかんちゃらで同性婚はダメとか。
おれの同期とか、
「お前ホモだろ笑」「ちげーよ、お前こそホモだろ笑」といった感じで、もう本当に、どうしたもんかなあと思います。


もう、法律で同性婚が認められるべきとか、みんながLGBTを意識している社会だとか、そういう初歩的すぎることに考えをさく余裕は、おれにはないです。

 

恋がしたいんです。この日本で、たとえ非合法であってもいいから。

人を好きになりたいんです。