あるゲイのサワライ マモル。

社会人3年目、あてどなく東京

72、隣の芝生は限りなく透明に近いブルー

木曜ドラマ「隣の家族は青く見える」最高でした。
今期のドラマの中で、サワライいちおしです。

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深田恭子さんと松山ケンイチさん演じる30代の夫婦が、コーポラティブハウスと呼ばれる戸建てとマンションの中間みたいな集合住宅に住み始めるのが第1話。
その隣人にゲイカップルが登場する、という前情報を仕入れていたサワライは、テレビの前で正座待機して初回を迎えました。もちろん録画予約もバッチリです。

 

異性愛テーマばかりだった前時代から、徐々にドラマでもLGBTを取り扱う作品が登場し始め、悲しみ・苦しみを伴う感動エピソードで世間に印象づける時代を経て、ここ数年、いよいよ「普通の人」としてLGBTのキャラクターが扱われる時代になったんだなあと感慨深いです。


サワライは、小学生の時に観た金八先生の、性同一性障害の生徒を演じた上戸彩さんの印象が強いです。
あれは世間に絶大なインパクトを残したんじゃないかと思います。当時言葉としてはなかったにせよLGBTみたいな概念が広まり出した時代だったと思います。たぶん2000年代初頭。
それと同時に、サワライの思春期の不安にも大きく影響を及ぼしていたと思います。
少し悲壮感が強すぎた。
「こうなることは怖い」という漠然としたイメージを持った気がします。
なにか悲しい過去とひもづいた「特殊な登場人物」として出す作品が多かったように思います。


そこから2010年代あたりまで来て、佐藤隆太に同居人の綾野剛が自然に片思いしている「クレオパトラな女たち(2012)」とか、天海祐希とゲイの沢村一樹偽装結婚したりレズビアン内田有紀が出たりする「偽装の夫婦(2015)」とか、どんどんバリエーションが提示されるようになってきて、共感するしないに関わらず作品を楽しめるようになってきたことが、本当に嬉しかった覚えがあります。
逃げるは恥だが役に立つ(2016)」での、序盤から普通に登場していた脇役の男性キャラが終盤にサラッとゲイだと判明する流れとか、本当にカジュアルで自然で、めちゃくちゃ感動しました。

 

そしてついに、この「隣の家族は青く見える」ですよ。
集合住宅に住む4世帯のメインキャラの中に、ゲイカップルが登場するなんて!
海外ドラマの「デスパレートな妻たち」には途中から準レギュラー的にゲイカップルが登場するんですが、ついに日本のドラマで!感慨深い!


第1話では、コーポラティブハウスという集合住宅のデザイン打ち合わせ段階から始まったのですが、眞島秀和さん演じる建築士が自分もあくまで一人で住むつもりで進める中で、「いい歳なんだから、将来のこと考えてる?」という上司や、「困ったら私が結婚してあげようか?」という同僚女性に苦笑いするシーンがあり、同性愛者であることが暗示されます。
そして飲み屋で「別れた恋人の結婚式だった」と酒に溺れる年下の北村匠海さんと出会い、「相手の女の顔が見てやりたかったんだ・・・」とか言い出して、え、それってまさか、そういうこと・・・?と困惑する眞島さん。

そう、他の3組のカップルよりもめちゃくちゃ丁寧に2人の出会いが描かれていたのです。
仕事ができて、周囲を気にして温和に笑う年上と、奔放で出会い頭に「わたるんって、呼んでいい?」と上目遣いをかます小悪魔年下、うわあーーー!!最高!!

サワライは早速、甘え上手な北村匠海さんに自分を投影して、「こんなふうに年上に甘えたい!!!でも絶対こんな上目遣いとかできないんですけど!!!!てかこんな都合のいい出会いとかないんですけど!!???」などと感情が一気にあふれ出して、ひたすらもだえました。

ありえない設定、おおいにけっこう。だってドラマだもん!
「ありえね~」って思いながら、ブーブー文句言いながら、めっちゃあこがれるっていう、世間で一般的な王道な楽しみ方ができている。
ありえるレベルの「ありえない」が、そこにはありました。こういうの待ってたんだ。
こんな画期的なドラマが平日の22時に普通に放送されている・・・。
2018年、すごい。

 

ちなみに「隣の家族は青く見える」の読み筋としては、不妊治療に取り組む深キョンと松ケン夫婦のやりとりがメインなのですが、深キョンの神々しいほどの美しさは言うまでもないものの、不妊に対する男女の意識の差が浮き彫りになったりと清々しいほどの現実路線。
他の女性陣も、子ども至上主義の見栄っ張りな奥様と、バツイチ男性と結婚した子ナシ希望の女性が対立しており、火花バチバチ。

つまり、このドラマのヒロイン要素を、奔放な小悪魔系ゲイ男子・北村匠海さんが一手に引き受けており、とても画期的な構造だと思いました。
どうも年上の眞島さん側は隣人たちに隠したい様子ですが、アパートを解約したという北村さんがコーポラティブハウスに転がり込んできて、今後の展開が楽しみすぎます。

 


そうそう、ついついオマケ的に書いてしまいましたが、本筋の深キョンと松ケン夫婦の不妊治療に関する丁寧さ、めちゃくちゃよかったんです。
夫婦で訪れたレディースクリニックで「1年避妊をせずに妊娠しないということは、検査するまでもなく不妊と呼べます」ということを医者が通知する。
それでも「今はまだいいんじゃないか」とイマイチ自分事ととらえていないような夫に対して、かすかに不安になる妻、みたいな描写とか・・・!
すごく踏み込んでいる、と思いました。
「母ではなくて、親になる」という子育てエッセイを読んだ時も思ったのですが、不妊にまつわる情報ってデリケートな性質も手伝って世間にあまり浸透していないんですよね。
意識的に情報を得るようにしたいなと思います。まあ自分の身にふりかかる事象ではないっちゃないのかもしれないけど、知っていたいし、理解したいなと思います。


それと、夫の職場の後輩キャラとして須賀健太さんが登場するのですが、軽く「不妊治療することになってさ~」と愚痴り出した松ケンに対して、「え、こんなことも知らないんですか!?」みたいな感じでアドバイザー的な能力を発揮し、松ケンも徐々に考えを変えていき、協力する方向に!

そう、単純に男女の対立に仕立てて男を悪者として描くわけでなく、松ケンにも愛しくなる要素がちゃんと描写され、「うん、好きになるよね~」という描き方がされていて、よかった。

それにしても須賀健太さんの役、独身だけど精子数の検査をしたことがあったり、それを今ドキの常識というような温度感でサラっと松ケンに言ったりと尋常ではないレベルで意識が高くて、本当にこんな20代ストレート男性とかいるのか??と疑いつつも、いや実在する・しないにせよドラマでしっかりと描かれることは希望だな~と思いました。

自分の職場でああいうふうに先輩が不妊の愚痴を誰か後輩に言う場面を想像すると、同調圧力も働いて「うげ~」とかいう流れになりそうかなという答えに行き着いてしまいますが、もしかしたら世間の男性の意識は実はもっと先進的で、自分のストレートの男性に対する偏見が古くさいだけなのかな?とも思いました。
いや、実際の男性は松ケン的な当事者意識の低い感じが多いんじゃないかな~・・・

いずれにしても、意識の高い後輩キャラがハッキリと先輩の認識を正すところ、とてもよかった。面白いドラマの中で、社会問題を取り巻く正しい規範がサラッと提示されるの、とても意義深いと思いました。

 


集合住宅に住む「子どもが欲しいカップル」、「子どもが欲しくない女性とバツイチ男性のカップル」、「子どもと理想の家族像に執着する主婦と会社を辞めてしまった夫のカップル」、「男性同士のカップル」という4組の今後の展開が、気になりすぎて楽しみすぎる!!!!
楽しみなドラマができると、仕事もまあ、がんばってやるか~という気になるので、サワライの生命線です。

個人的に今期は、
1.「隣の家族は青く見える」
2.「アンナチュラル」
3.「anone」
という布陣でいきたいと思います。よろしくお願いします。(何が)


全4回だけど、女性が恋愛対象のMtFトランスジェンダーを描くNHKの「女子的生活」もすごい!
LGBTとはこういうこと」って説明するよりも、色んな種類の物語が、様々な具体例をどんどん提示していけばいいんだよ。

風は吹いているぞ!!!

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