あるゲイのサワライ マモル。

東京、会社員、ゲイ

71、徹底・感情収納術

ダルい月曜。
会社の食堂で、数人の同期と昼ご飯を食べていた時のこと。
近々海外支社でのインターンを予定している、血気盛んな彼が、
「きのう友達の結婚式に行ってきた」と話を始めました。

同僚にはゲイであると申告していないこともあり、日頃、結婚だとか恋愛だとかいった話題にはだんまりを決め込むサワライですが、今日ばかりは話に加わりたいと思いました。
サワライも土曜、結婚パーティーに参加していたからです。
しかも、全国各地にちらばる大学時代のサークル同期が集合して、同期旅行も兼ねた、すげえヤツ。

都内の有名な高級ホテルがすごかったと話すお前に、もっとスケールの大きい話をお見舞いしてやらあ、と息巻いて、タイミングをうかがっていたのですが、話題は彼自身の結婚へと移っていきました。
普段から遊び人であることを誇っているというか、「酒・金・女に対して積極的です」というスタンスというか、なんというか古くさくて軽薄な彼の価値観が苦手なので、ちょっとまずい方向に来たな…と話したいオーラを引っ込めました。
すると案の定、「学生時代から付き合ってるけど結婚はないかな、でも今度の長期海外出張の直前までどうしようか悩み中」という彼女への、ぞんざいな対応を聞かされることになりました。
営業の女の子が、「アラサーも視野に入ってくるらしい相手のことを考えると、結婚しないつもりなら早く別れるべき」という至極まっとうな意見を示したのですが、「でもまあ、5%くらいは結婚の可能性もあるし笑」という返事。
あげく、少し前に彼氏と別れたらしいその子に「結婚は?笑」と聞いたり、女の子たちがいる前で「男は30歳でもまだあせんなくて大丈夫だよね、35歳くらいだったら相手いないとやばいけど笑」とか平気で言ったりする始末。


「結婚・子どもがゴール」という前提でどんどん話が進むことが怖い。
それ、失礼だよ、と言い出す勇気がない自分に対してどんどん自己嫌悪が進む。
しかも、絶対に内心では色々思っているだろうけど、「たしかに、もうすぐアラサーはやばいよね~」と一緒になって笑っている女の子に対して理不尽に苛立つ自分もいて、本当に何様なんだ?と、わけがわからなくなる。

恋愛系の話になるとピタッとおとなしくなり、むしろビクビクする気持ち悪い自分がみんなにどう映っているのかも気になって、恐ろしい。
苦しいけど反論もせず、ヘラヘラ笑うことしかできなくなる。


上手く笑えているだろうか?と気にする自分が、誰よりも、結婚は正義だという固定観念に支配されているのだと思う。

昼休みが終わってからずっとグルグル考えがまとまらず、仕事に集中できませんでした。
家に帰って一息ついて、こうやって文章に整理し始めてやっと少し落ち着いてきた気がします。

 

落ち着いて考えてみると、楽しかった結婚パーティーや同期旅行の思い出を、会社での屈辱とひもづけて記憶してしまいそうになっていたと気づきました。
「結婚」という雑な分類の大きな引き出しに、一緒に収納してしまうところでした。
あぶないあぶない。

具体的な友達の名前を明記した結婚と、
会社とかで雑にゴール設定されがちなプレッシャー装置としての結婚とは、別物です。
早急に100均で小さい収納用品、買ってくるべき。

 

サークルのマドンナだった彼女は、本当に美しかった。
誰よりもピンと伸びた背すじが強く印象に残った。
自分の意志で選び、自分の足で進んでいるんだと感じた。

あの日の祝福を、ビンゴ景品のポータブル加湿器を稼働させて再確認する。

練り物、カレーに苺パフェ、食べ散らかした観光都市。
遅めの初もうでに訪れた神社での、凶のおみくじ。
凶だね、とみんなで笑った。

 

結婚というキーワードは、どうしても緊張してしまう言葉ではあるのですが、だからといって大切な人の門出を祝う気持ちは、忘れたくないなあと思います。
もちろん切ない気持ちというか、説明できないキュッとなる感じもあるけど、それもちゃんと覚えておきたいです。
丁寧に覚えて、しまっておきたい。

ま、会社での悪意・愚痴は適宜ブログに、母なるインターネットの海に垂れ流しましょう。
大丈夫、こんなありふれた憎悪で汚染されるほど、ヤワなネットじゃございません。

あと単純に彼氏ほしいだけのヒガミな可能性もあるので2018年、
色々と前のめりに行きたいです。

でもおみくじ凶だったからな~…!

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