あるゲイのサワライ マモル。

社会人3年目、あてどなく東京

26、イチかバチか

今週のお題「今年買って良かったモノ」

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服屋でいい買い物をするのって、難しい。

 

値段の高いものを買えばいいっていう単純なものではないし、安く買えても頼りない材質はイヤだ。

タンスの中の手持ちのアイテムと、なるべく多く組み合わせられる方がいいけど、あんまり地味すぎるのも買う甲斐がない。

MサイズとLサイズ、ゆったりめに着るかピッタリめに着るか…それが問題だ…。

 

いろんな要素を考慮して、じっくり品定めをしたいのに、だいたいの店員は馴れ馴れしくしゃべりかけてくる。

人見知りな私は、冷静に買い物をこなすことができない。

 

値札もなぜか服の中の方に隠してあるトラップが多く仕掛けられており、モタモタ値札を探しているうちに店員さんに見つかってしまう、みたいな感じ本当につらい。

別に万引きしてるわけじゃないんだからあんなコソコソしなくてもいいのだろうけど、なぜか悪いことをしてる気分になるんだよな…。あれなんなんだ…。

 

そうして捕まった店員さんのお世辞トークの処理に困惑しながら、いつもイチかバチか、買うしかない!早く買っちまって解放されたい!というようなノリで買っている。およそ半分の確率で、家に帰った後に「なんでこれ買ったんだろ。。。」という気持ちになる。

 

 

そういうわけで私にとって洋服の買い物は、ギャンブルに近い。

しかしそれだけ、思いがけずお気に入りのアイテムを購入できていた時には、喜びもひとしおなのだ。

 

 

 

今年、一番買ってよかったな~と思うものは、先月買った黒い革ジャンだ。

なんだか最先端の界隈では「ライダース」と呼ぶ向きもあるみたいだが、おしゃれに不慣れな私が買ったのだからあくまで「革ジャン」だ。

 

数年前に買った1万円くらいの革ジャンもどきを愛用していたのだが、その合皮素材が去年ついにボロボロと崩壊を始めてしまい、今年は本革の、ちゃんとしたヤツを買ってみたいと息巻いていた。

 

とはいえ、いい革ジャンを買おうとすると、値段に際限がないという。

そんなに高いものは買えないから、本当に慎重にこの買い物は成功させたいと思った。

 

そうして挑んだ新宿のルミネは、さながらRPGダンジョンだった。

次々に襲い掛かってくる店員モンスターをかわしにかわして、なるべくお手頃価格な、なるべくいい材質の、なるべくかっこよくて、なるべくシンプルな革ジャンをさがした。

店員の目を盗んで値札をさり気なく読み取るスキルだけがどんどん向上していった。

あの値札を抜き出す手さばきは、万引きGメンも真っ青だったと思う。

(※決して万引きはしていないし、万引きをしようともしておりません)

 

数店舗を渡り歩き、神に導かれた最後の店で、その革ジャンと出会った。

艶のある上品な黒、装飾の少ないスッキリとしたデザイン、それでいて確かに主張するその存在感。申し分のないルックスだった。

店員さんもわりと控えめな接客で、興味に満ちた私がその革ジャンを手にしてやっと、「それ本革なんですけど、3万しないんですよ?(微笑)」とふんわり語りかけてくれた。

 

う、3万か…でも出せない金額じゃない…これは…

「あの、着てみてもいいですか?」

 

値段の相場とかはわからない。材質も、どのくらいの品質なのか正確なことはよくわからない。でも。

革ジャンを着てちょっぴり大人に映る、鏡の中のこの自分になりたい、と思った。

3万払って、なりたい。そう思えた。

 

いつもとはちょっと質の違う興奮の中、私は支払いを終え、家路についた。

 

 

 

あれからひとつき経って、何回か着たのだけど、やっぱりいい。

シンプルなデザインがすごく気に入っている。

店員さんが本革というだけあって、なんかしっかりしてる気がするし。

この、「気がする」のが重要。

う~ん、いい買い物をしたなあ。

 

 

たまにこうやって「勝つ」から、服屋のギャンブルはやめられない。